中小企業診断士の二次試験は実務に役立つのか?

「中小企業診断士の二次試験は実務の役に立ちますか?」診断士として活動していると、資格取得を目指している方からこういった質問をよくいただきます。二次試験では事例企業に対して診断士としてどのような助言をするか、という点について記述式での回答が求められます。実際のところ、試験と実務にはどのような関連があるのでしょうか?

こんにちは。中小企業診断士の森です。

いよいよ二次試験が今週末になりました。
試験勉強の進捗はいかがでしょうか。

今日は、自分自身が勉強中に気になっていたことである「勉強している内容が果たして実務に役立つのか」という点について書いていきたいと思います。

前回の記事でもお話したとおり、中小企業診断士の二次試験は事例を踏まえた記述試験です。
事例企業について記載された文章(予見文)を踏まえて、与えられた問題に対して20~200字程度で解答するスタイルです。

(例外的に事例Ⅳは計算問題があります)

記述問題なので、確固たる解答があるわけではなく、資格の学校によっても模範解答が異なります。

得点のポイントが公表されているわけではありませんが、
「記載すべきポイントがきちんと記されているか」
「文章としての起承転結がしっかりしているか(支離滅裂でないか)」
「与えられた文字制限に対して適切な文量であるか」
といった点が要素となり、得点・減点がなされているものと思われます。

さて、今日のテーマである「実務に役立つのか」という点についてですが、「部分的には」役に立つ、という言い方が適切かと思っています。

いい点としては、
「論理的な思考が身につくこと」
「自分なりの分析スタイルが身につくこと」
などが挙げられるかと思います。

予見文は通常、2ページ以上に渡ることが多く、限られた時間の中で正確に内容を読み取ることが求められます。
自分なりのスタイル(論理)を確立し、それに従って様々な事例を分析する、ということは、中小企業診断士の資格取得後にも(そのままではないものの)活かすことができるものです。

一方、現実の中小企業支援との決定的な差は、「与えられた答えがあるかどうか」です。
試験はあくまで試験ですので、必ずどこかに答え、もしくは答えのヒントになる記述がありますが、現実世界では答えのないところに答えを探しにいくということが大半です。

与えられた情報を基に自ら分析し、仮説を立て、対策を打つ。
さらに将来の方向性を決める段階では、経営者の方々の意思を形にして、その実行を支援する。

これはやはり答えが与えられている試験ではなかなか身につきにくいものだと感じています。

弊社では、資格の取得を目指される方に対して、勉強に集中できる環境と、資格取得後の実務の補佐をご経験いただける環境を整えております。
経験はないが、中小企業の支援をどうしてもしたいという熱い想いをお持ちの方、また診断士制度や仕事内容、考え方、将来などについてはコメントを通じてお受けしております。
こちらのお問い合わせページからお願い致します。

経験でも中小企業支援への思いを持つ方を随時募集しております。資格取得後10年程度の期間、金沢で腕を磨きその後故郷に戻って還元する取り組みも行っています。
採用についての詳細はこちらの採用ページをご覧ください。

皆さまの健闘を祈ります。

中小企業診断士 二次試験対策について

【2019年10月1日 投稿】
【2024年10月10日 更新】

こんにちは。北陸で新卒から中小企業診断士として活動している森です。
早いもので10月に入り、中小企業診断士二次試験まで3週間となりました。受験される方は、最後の追い込みの時期にさしかかっていると思います。

今回は、曲がりなりにも二次試験を突破した身として、二次試験の対策についてお話したいと思います。

森は1度目(一次試験に合格した年)の二次試験は不合格で、2年目に合格しました。
1回目は8月まで一次試験の対策のみを行なっていて、二次試験の対策は全くしていませんでした。
お盆明けから本格的な勉強を始めたものの、一次試験とのギャップに自分なりの勉強法を確立できないまま試験当日をむかえてしまい、合格ラインにはかなり遠い結果だったことを覚えています。
(確か、事例ⅠがB、事例ⅡとⅢがC、事例ⅣがDだったと思います)

2年目は二次試験対策に時間を割くことができたため、まずは時間がかかってでも自分なりに事例企業の分析をしっかりすることから始めました。
なかでも特に気をつけたのは、問題文の解釈とSWOT分析、そして過去現在未来の整理です。

問題文を予見文より先に読むことはおそらく定石として紹介されていると思いますので割愛したいと思いますが、SWOTと過去現在未来に関しては自分なりのまとめ表のスタイルを考え、それを使い続けるようにしていました。

これまでこの会社はどうだったのか、今この会社はどうなのか、外部環境はどうなのか、今後この会社はどのような方向に進もうとしているのか。

この点をきっちりと整理するスタイルが確立できてからは、模試などでも点数が安定してきたように思います。

今は二次試験まであまり日がありませんので、今からスタイルを変えることはオススメでできませんが、点数が安定しなくて悩んでいる方がいらっしゃれば参考にしてみてください。

弊社(迅技術経営)では、性別や経歴に関係なく、士業資格(中小企業診断士、税理士、社会保険労務士)の取得を通じて地域のために貢献したいという方に対して、「士業育成システム」による支援を行っています。
資格を取得して一人前になった後は、自らの故郷などに支店を設け、皆様の力を還元する取り組みも行っています。

採用も随時行っておりますので、こちらの採用ページをご覧ください。

また更新いたします。

中小企業診断士一次試験をデータで振り返る

「中小企業診断士の合格率は4%!」という言葉は、診断士や診断士試験に興味を持たれた方であれば聞いたことがあるフレーズだと思います。これは少なくとも10年以上前から言われていたことですが、実際のデータで振り返ってみるとどうなのでしょうか。この記事では、2009年度から最新年度までの合格率をグラフにして紹介しています。

【2019年7月23日 投稿】
【2025年7月21日 更新】

こんにちは。中小企業診断士の小川研介です。

中小企業診断士一次試験まであと少しになりましたね。
中小企業診断士の資格は、「合格率4%」や「難関資格」と言われることもあります。
今日は診断士の試験制度のおさらいと、2009年度からの合格率のデータを紹介していきたいと思います。

 

1.試験制度について

中小企業診断士試験は一次試験(毎年8月第一週の土日2日間)と二次試験(毎年10月後半の日曜日)、それから口述試験の3段階に分かれています。
口述試験は合格率がほぼ100%なので、一次試験と二次試験について書いていきたいと思います。

 

1-1.一次試験

経済学・経済政策、財務・会計、企業経営理論、運営管理、経営法務、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策の7科目から構成されています。
合格基準は総点数の60%以上(700点満点中420点以上)であり、かつ1科目も40%未満(100点満点中40点未満)の科目がないことを基準としております。

試験合格の有効期間は2年間(合格した年とその翌年)であり、この期間内であれば二次試験の受験資格があります。
また、科目合格(100点満点中60点以上)の制度もあり、3年間(受験した年、その翌年、翌々年)が有効期限です。

 

1-2.二次試験

二次試験は事例Ⅰ~事例Ⅳまでの4つの事例における筆記試験です。
大まかな傾向としては以下のとおりです。

事例Ⅰ:組織や人事に関連する戦略に係る事例
事例Ⅱ:販売戦略(マーケティング・流通等)の戦略に係る事例
事例Ⅲ:生産・技術面の戦略に係る事例
事例Ⅳ:財務・会計面の戦略に係る事例

試験のスタイルとしては、2~3ページからなる問題文に対して4~5問程度の設問があり、それに対して文章(20~120字程度)もしくは計算結果を回答していく、というものです。
合格基準は一次試験と同じく、総点数の60%以上で、かつ1科目も40%未満のものがないことを基準としております。

 

2.合格率

ここでは2009年度から2023年度までの合格率の推移を見ていきたいと思います。

 

試験合格に関しては、2009年度から2017年度ごろまでは概ね20%強で推移していましたが、2018年度以降はやや上昇傾向にあり、2020年度はCOVID-19の影響もあってか42.5%になりました。その後はやや落ち着き、2022年度以降は30%弱で推移しています。

科目別では2%程度から50%まで、かなり年によって幅があることがわかりますが、2017年度、2018年度と難化した後、徐々に落ち着いてきたようです。

二次試験の合格率は17~25%と一次試験と比べてやや振れ幅は小さく、直近5年程度は18%台で推移しています。
全体では、一次試験合格率30%×二次試験合格率18%=5.4%
が近年の実績といえそうです。

こうして時系列でデータを比較すると、見えてくるものがありそうですね。
先ほど試験制度の部分でも書かせていただきましたが、中小企業診断士試験の特徴は、科目合格、一次試験合格ともに有効期間があるという点です。
この有効期限をうまく使っていくことが、資格取得に向けた勘所になっているように思います。

次回は私(小川)が思う「時間が限られている社会人の方でも資格取得を目指していける方法」について書いていきたいと思います。
中小企業診断士試験の勉強をする時間がとれない!という方へ

 

3.おわりに

学生の方、すでに社会で活躍されている方、様々なハードルを抱える方、どのような属性の方であっても、「地域や地方、そこで活動されている方々のために、自身や資格の力を活用したい」という方を募集しています。
石川県という地方の、しかも10人にも満たない会社に対してアクションを起こすことは勇気がいると思いますが、「小さな一歩」を踏み出してみませんか?
オンラインでも対面でも、弊社の士業と話すこともできますので、ぜひお問い合わせはこちらから、お待ちしております。

興味を持っていただいた方は、迅技術経営の採用ページもご覧ください。