中小企業診断士とMBAの違い

中小企業診断士とよく比較されるものの1つに「MBA(経営学修士)」があります。ご自身のキャリアを考える際に、どちらを取るべきか迷われる方も少なくないと思いますが、実はこの2つの共通点はそれほど多くなく、むしろ性質や適しているケースは異なる部分が多いと感じています。私感も含みますが、共通点と相違点についてまとめました。

こんにちは。北陸を中心に中小企業の支援をしている迅技術経営の森です。

中小企業診断士の取得を考えた時に誰もが一度は考えるのは、「中小企業診断士か?MBA(経営学修士)か?」という選択ではないでしょうか。

よく比較される2つだと思いますが、取得後のキャリアをどのように考えているかによってどちらを取得すべきかも変わってきます。

ありがたいことに、森はつい最近(2023年3月)まで大学院に通っており、MBAコースの学生さんたちとも近い距離にいたことから、中小企業診断士とMBAの共通点と相違点をまとめてみたいと思います。

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AIに代替されにくい中小企業診断士という仕事

大変ご無沙汰しております。石川県の中小企業診断士の森です。
更新ができておらず申し訳ありませんでした。
更新していなかった時期のことも含め、
少しずつまた皆さんに情報をお届けしていきたいと思います。

今日は最近特に注目を集めている「AI(人工知能)」についてです。
直近ではAIチャットボットである「ChatGPT」が
大きく注目されています。

一方で、AIに代替されにくい仕事として、
中小企業診断士が注目されているのはご存じでしょうか。

日経新聞「AI時代のサムライ業(上)代替の危機 新事業に挑む(2017年9月25日記事)」より引用

 

AIが将棋やゲームで人間に勝った、AIに記事執筆をさせたら数秒で10本もの
記事が完成したなどの情報を耳にする機会が増えたことで、
「AI=人間が敵わない存在」という風に感じている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、報道されるのはAIの得意とする分野の成果のみで、
AIにも不得意な領域があるそうです。
それが、ヒューマンスキル(交渉・コミュニケーション・ヒアリング・
コーチングなど)が必要とされる領域です。

 

■AIに代替される可能性が高い仕事

AIに代替される可能性が高い仕事の中には、
行政書士・弁理士・税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士など、
複数の士業も含まれています。
一方で、士業の中でも代替可能性が低いとされているのが、
中小企業診断士と弁護士です。

◯AIの得意・不得意領域

そもそもAIが得意としているのは、ゴールの最適化と単一作業です。
画像・映像・音声の解析、明確なルールがある作業、
数値化されていることの推論など、
多くのデータを取り込んで最適な答えを導き出すのが得意です。

つまり、AIを活用するには数値化できるゴールを出す作業と、
学習のための豊富なデータを揃える必要があります。

その真反対にあるのが、人の行動や思いなどの定義が曖昧なものに対して
答えを出す仕事です。
例えば「人生にとって大切なこととは?」など、
人や状況によって定義が異なるような曖昧なものの答えを出すことは苦手です。
他にも少ない情報から答えを導き出すこと、文脈を理解すること、
経験から答えを出すこともAIの不得意分野です。
(もしかすると前述のChatGPTの登場により、
これも今後大きく変わってくるかもしれません)

つまり、「AIが得意=代替されやすい」のは書類手続き等、
定型的な業務が多い仕事。
「AIが不得意=代替されにくい」のがその人、
あるいは企業に合わせた「オーダーメイドの仕事」だと考えています。

中小企業診断士以外の士業で代替されにくいとされている弁護士も、
依頼人の気持ちを理解して課題解決をする点で、
高いヒューマンスキルが求められる仕事です。

 

■中小企業診断士が代替されにくい理由

ここで改めて、中小企業診断士がAIに代替されにくい理由を考えてみましょう。
1つは経営企画から戦略、財務、販売・マーケティング、人事労務までと
幅広い領域のコンサルティングを担う仕事であること
もう1つは、感情や想いを汲み取って仕事をする必要があることです。

相手に共感し、どうしてほしいのかを汲み取った上で、
幅広い範囲に及ぶ課題を解決しなければなりません。
最適化が得意なAIに各種の条件を入力して答えを導き出させたとしても、
それがその会社にとって最適な戦略かどうかはわかりません。
自分が経営者だったら一般的に優れている戦略よりも、
こちらの意図を汲み取った戦略の方がありがたいと思うのではないでしょうか。

このように企業によって大切にしたいこと、
理想とする未来が異なるため、
その会社ごとに違うコンサルティングが必要です。
AIが得意な定型業務の正反対の仕事だからこそ、
中小企業診断士がAIに代替されにくいという結果が出ているのでしょう。

もちろん、今後の進化によってはAIの不得意領域が
少なくなってくるかもしれません。
しかし、対話から悩みや課題を導き出すのは人間が長けている領域で、
人間に対して求められる価値はまだまだ伸びしろがあります。
人間の得意領域はそのまま磨きつつ、AIの得意な分析力を借りれば、
より質の高いコンサルティングができるようになると考えています。

AIに代替されないからこの仕事には将来性があると考えるだけでなく、
AIによる技術を活用してより質の高い仕事を目指すことで、
中小企業診断士として大きく成長できます。

それが、クライアントの利益を生み、
中小企業を支えることにつながっていくはずです。

中小企業診断士は浅く広く?狭く深く?

こんにちは。中小企業診断士の森研介です。

 

新型コロナウイルスの影響、皆さんお住まいの地域では
いかがでしょうか。
これまでと生活や時間の使い方が大きく変わった方も
多いのではないでしょうか。
中小企業診断士の一次試験まで、通常ならあと3ヶ月。
周りの変化に流されず、やるべきことを一つずつ
こなしていただければと思います。

さて、今回は「中小企業診断士の仕事の範囲」
について書いていきたいと思います。

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平時と有事での中小企業診断士のあり方

中小企業診断士の森研介です。

前回の投稿からかなり時間が空いてしまいました。
しっかりと定期的に投稿を継続していきます。

 

さて、投稿が空いてしまった間に世の中では
新型コロナウイルスの感染が急速に広がりました。

私が聞く限りでは、ほぼすべての業種で
何らかの影響を受けていらっしゃいます。

今回の件による倒産や雇用の減少を防ごうと
様々な施策が打ち出されておりますが、
いつまで感染拡大が継続するかもわからず
おさまったとしても消費が戻る時期は
さらに先になると考えられることから、
まだしばらくは厳しい状況が続きそうです。

今回は、平時と有事における中小企業診断士の
あり方について書いていきます。

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中小企業診断士の役割

中小企業診断士の西井克己です。

中小企業診断士はどんな役割をしているのか?

その質問の中には、いわゆる業務の部分とその業務の中での役割の部分と2つが含まれていることが多いです。
このため、論点を2つに分けて説明します。

まず業務ですが、
弊社の場合は、
中小企業支援団体から依頼をいただき、中小企業に専門家として派遣される公的支援業務と
顧問契約をいただいているお客様に定期訪問し、課題の進捗状況を確認する民間契約業務があります。

公的支援業務は、お客様の課題を広く浅く支援することが多いです。
(石川県には企業ドック制度http://www.kanazawa-cci.or.jp/service/consul/service03.html#01
 という専門家派遣制度があり、企業が抱えている課題を網羅的に診断する事業もあります)。

民間契約業務は、毎月訪問して企業支援することから、網羅的な支援というより個別具体的な課題を深堀して課題解決にあたることが多いです。
資金繰りや計画の達成度等の全般的なところから、原価管理制度の構築など、個別具体的な経営支援を行っております。

また、役割に関してですが、
共通しているのは、中小企業診断士の役割は、
お客様になりかわって課題を解決するのではなく、お客様と一緒に考えて、解決するように気付きを促したりその動きを支援するいわゆる伴走型支援であることです(主役はお客様であって中小企業診断士は黒子です)。
お客様の窓口になり、課題解決のハブ機能の役割を担うことも少なくありません。

具体的には、お客様の事業の課題を評価(いわゆる事業デューデリジェンス)し、中小企業診断士自らが課題解決の支援にあたるだけではなく、
その課題解決に応じた専門家(税理士先生や社会保険労務士先生や司法書士先生や行政書士先生や弁理士先生等)を紹介し、
その専門家と同席の上、全体的な支援の統括をすることもあります。
お客様は、全体的な視点での支援を求めていらっしゃることが多く、経営全般の知識を持つ中小企業診断士にご信頼をいただくことが少なくありません。

いろいろな表現で仕事をお伝えするのですがなかなか中小企業診断士の仕事は多岐にわたっています。
だからこそ中小企業診断士同士が、お互いの業務がかぶることなく切磋琢磨できる。それこそが中小企業診断士の良いところと思っています。

お客様と伴走しながら一緒に支援していくこれこそが中小企業診断士の役割ではないか?
その仮説をもって日々仕事(検証)をしております。

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【中小企業診断士のやりがい】

【2017年8月7日 投稿】
【2020年4月15日 更新】

中小企業診断士の西井克己です。

勉強をされている方から、どんな時にやりがいを感じますか?

と仕事のやりがいに関する質問をいただくことが多いです。

事実は、どんな人でも同じ事実ですが、その事実をどうとらえるか?
どう評価するのかというのは、その人が歩んできた人生に大きく左右されます。

ですから、感じるというのは、とても答えに窮することが多いです。

回答するときは、私の個人的な意見でという前置きをしたうえで回答します。

私が考える中小企業診断士の仕事のやりがいは以下の4点です。

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