「補助金コンサル」のメリットと限界

ここ数年、「補助金コンサル」という言葉が聞かれるようになってきました。中小企業の取り組みを支援する制度が増えるとともに、チャレンジを支援する診断士やコンサルが増えることは好ましいことですが、10年以上診断士として活動してきた視点から、いい面と難しさについて紹介しています。

こんにちは。迅技術経営で中小企業診断士として活動している小川です。

前回の更新から少々時間があいてしまいました。
2025年に入って2ヶ月半が過ぎ、中小企業診断士二次試験の結果も出ましたね。
勉強されていた皆さんの結果はどうだったでしょうか。

さて、今回は「補助金コンサル」というテーマで話していきたいと思います。
補助金コンサルという働き方・考え方は、ここ数年で注目が集まったので聞いたことがある・興味があるという方も少なくないと思います。
以前から補助金コンサルという働き方や接し方に対しては良い側面とそうでない側面があると思っておりましたので、今日はそのことについて触れていきます。

 

1.補助金コンサルが浸透した経緯

2010年代半ばごろから、「ものづくり補助金」や「持続化補助金」など、中小企業向けの使いやすい補助金制度が拡充されました。
これらの制度が開始された当時、私は診断士として活動を始めて数年といった時期でした。当時は先ほど挙げた2つの補助金が国の補助金としてメインであったように記憶していますが、いずれも「事業者自らが申請書を作成する・できる」ことが制度構築に対する考え方の重要な要素であったという印象を受けていました。

この時期、採択された企業の中には実際に経営者や幹部自らが申請書を書き上げたという事例も数多くありました(少なくとも石川県でもそのような事例を一定数伺っていました)。

しかし、採択競争が激化する中で、我々中小企業診断士などの士業が申請を支援するケースが徐々に増え始め、制度設計者側もそれを前提とした制度設計へと変化していったように感じました。
(例えば、審査員が読みやすいように図表を多く使うよう指示がある、など)

そしてこの流れが決定的になったのが、2020年以降のコロナ禍でした。
この時期(2024年時点でも制度としては残っていますが)、コロナ禍で社会情勢が大きく変化したことから、「事業再構築補助金」という制度を通じて事業転換を後押ししようという動きが高まりました。
この補助金は、補助金額の大きさ(最大8,000万円)、補助対象費用の幅(建物も対象になる)といった点で、それまでの補助制度とは異なっていました。
また、支援する側という観点では、外出自粛の流れの中で診断士などの資格に挑戦したりフリーランスとして独立する人が増加し、会議や打ち合わせのオンライン化が進みました。

事業再構築補助金を通じて新たな事業に取り組みたいが自分で申請書を書き上げるには手間がかかるし採択される可能性にも限界があるという経営者側の思惑と、採択に向けた支援をすることで自身のキャリアを確立したいという支援者側の思惑、それらが重なったことが、「補助金コンサル」という支援のあり方が急速に普及した一因になったと考えられます。

 

2.「補助金コンサル」のメリットと限界

2−1.メリット

・事業計画をわかりやすくまとめる経験

私自身がそうだったのですが、補助金の申請書づくりは事業計画を作る何よりの訓練になります。
補助金の大半は申請書のみで審査されるため、その会社のことをまったく知らない人が短時間で読んでも、しっかりとその会社の過去、現在、そして未来が明確に伝わらなければなりません。

経営者の方々から会社のこれまでと現状をヒアリングし、その会社の良さや課題を経営者と同じレベルか、時にはそれ以上に理解する。そして、将来に向けた方針を補助金を活用してどのように実現していくのか。そうした内容を文章や図表を活用して明確に示していくという工程は、支援者としてのレベルを確実に上げてくれます。

 

・前向きな企業・経営者と知り合うきっかけづくり

補助金というものは、基本的に現状から何かを変えようとしている会社がチャレンジするものです。つまり、何らかの課題を抱えておりそれに対して前向きに進もうとしている会社ということになります。

そうした会社の中には、とても魅力的な人や事業内容があったりします。そうした方々と関わることができ、さらなる成長に向けて貢献できるということには、支援者ならではの大きな意義があります。このような会社や人との出会いは、きっと皆さん自身の成長に強くつながります。

 

2-2.限界

・仕事が補助制度の動向に左右されやすい

前述のとおり、中小企業を対象とした補助金・補助制度が拡充されてきたのは、この10年くらいだと思います。この間、「ものづくり補助金」や「持続化補助金」などを中心に、国だけでなく都道府県単位で実施されているものも含めると、実に様々な制度が生まれてきました。
中でも「補助金ビジネス」や「補助金コンサル」といった言葉がより浸透したきっかけは、コロナ禍における「再構築補助金」でした。

このとおり、補助金は行政の制度であるため、それを事業の軸とすると制度の動向に軸が左右されることになります。アフターコロナや各地での災害発生により各種補助金の予算が削減される中で、コンサル会社の倒産が増加しているというニュースもこの流れに乗ってしまっているから、という要素があると思います。

 

・「その場限り」の関係になりがち

補助金を事業の軸にしている方を見ていると、「申請書を作成して採択される」ことを「成功」と定義して成功報酬を受け取っているところが多いようです。
このような体系を採用していると、お客様との関係が「その場限り」になりがちになってしまう可能性があります。
新しいビジネスへの挑戦や設備投資は、事業者さんの思いを実現する上での手段の1つであり、そこでゴールではありません。診断士の仕事をする中で本当にやりがいを感じられるのはその先であるにもかかわらず、そこまではカバーしない…というのは、とってももったいないと感じてしまいます。

 

3.おわりに

弊社では、よく「資格は刀であって、それをどう使うかは使い手次第」という話をします。今回の話も、まさにそこがポイントだろうと感じています。

中小企業診断士の認知度が上がって資格を持つ方が増える中で、診断士が介在することで事業者さんが思いを実現できる可能性を引き上げることができているとすれば、それはとてもいいことだと思います。
一方で、先程も述べたとおり、補助金の申請、採択といったことは会社を経営する中でほんの一部分のことであり、診断士として本当の意味で価値を発揮できるのはその前後にあるような気がします。

学生の方、すでに社会で活躍されている方、様々なハードルを抱える方、どのような属性の方であっても、「地域や地方、そこで活動されている方々のために、自身や資格の力を活用したい」という方と一緒に働くことができればと思っております。
石川県という地方の、しかも10人にも満たない会社に対してアクションを起こすことは勇気がいると思いますが、「小さな一歩」を踏み出してみませんか?

オンラインでも対面でも、弊社の士業と話すこともできますので、ぜひお問い合わせはこちらから、お待ちしております。

興味を持っていただいた方は、迅技術経営の採用ページもご覧ください。

なぜ一人前になるまでの期間を10年にしているのか?

弊社では一人前になるまでの期間を「10年程度」としています。これについて、弊社に興味を持っていただいた方からから「長すぎないか?」との疑問をいただくことがあります。本記事では、この「一人前になるまでに10年程度」の中身についてご紹介しています。

【2024年10月15日 投稿】
【2025年3月30日 更新】

こんにちは、中小企業診断士の小川です。

今年も中小企業診断士の二次試験がだんだんと近づいてきました。
残り2週間程度ではありますが、皆さんのご健闘を祈っております。

さて、いきなり手前味噌な話になるのですが、弊社では「士業育成システム™」と題して、未経験でも思いのある方に入社していただき、自らの思いや志を実現していただく環境を提供しています。
また、士業になった後も「支店制度」として、ご自身の故郷や思い入れのある土地でその力を発揮していただくことで、社内の次の人材だけでなくその地域にも恩送りしていただくことも目指しております。

私(小川)はかれこれ5年前以上前から、弊社の採用過程で一次面接を担当しているのですが、しばしば「入社してから一人前になるまでの期間を10年程度としているのはなぜですか?長過ぎませんか?」というお声をいただきます。

前置きが長くなってしまったのですが、今日はこの「10年という期間」について、私なりの考えをお伝えできればと思います。

1.士業育成システムについて

一人前の話をする前に、弊社の士業育成システムについてお話させていただきます(システムの詳細はこちらのリンクをご参照ください)。

最初にも記載したとおり、弊社では基本的に「経験はない/少ないが中小企業や地域を応援したいという強い思いがある」という方と一緒に働きたいと考えています。

つまり、経験が少ない方でも一人前の士業として活動できるよう共に育つということに取り組んでいます。このため、資格取得前の方に対しては、
・完全週休3日、試験前休暇(2~4週間)
・資格学校費用、受験費用の補助(20万円/年)
・勤務時間中も勉強可能
・かばん持ち制度(センパイ士業に同行して中小企業支援の現場を見ることができます)
といった仕組みを用意しています。
また、資格はあくまで思いを実現するための手段であるという考えから、大学院の費用補助や上司との個人面談などを通じて、資格取得後の支援も用意しています。

中小企業診断士の求人は以前と比べるとかなり多くなりましたが、依然としてその多くは資格と経験を持つ方を対象とするものが大半です。
弊社ではあえて思いにお互いが共感できるかを重視することで、お互いが切磋琢磨し尊重しあえる環境をつくっています。

 

2.士業資格を取得した後の流れ

次に、資格を取得した後の流れを見ていきたいと思います。
資格を取得したからといってすぐに1人で活動できるわけではありません。少しずついろいろな経験を積みながら、できることの幅を広げていきます。

人にもよりますが、資格を取得してから完全に1人で行動するようになるまでは、概ね3~5年かかっている人が多いです。

そうして「ひとり立ち」する中で、ご自身の志や仕事を通じて実現したいことについて改めて明確化していきます。
士業としての経験も増えていく中で、自分のやりたいことはなんだったか、解決したい課題はなんだったか。
ここが明確になり、その後のステップを決めるまでにまた3~5年かかることが多いです(小川はそうでした)。

先ほどもご紹介したとおり、この過程は1人で悩むのではなく、他の士業やメンバーが時に壁に、時に鏡になりながら考えを深めていきます。

小川の場合は、2013年のはじめに診断士に登録し、自分が決めた道に進むために大学院に進学したのが2021年、修了したのが2023年でした。
振り返ってみると最短ではなかったなと思いますが、やはり10年かかりました。

 

3.一人前の目安を「10年程度」としている理由

おわかりいただいたかと思いますが、10年かけたくてかけるわけではなく、結果として10年程度かかってしまう、という言い方がより近いのだと思います。
逆に、それだけの年月をかけて定めたご自身の道はそう簡単に変わることはないくらいに強固なものになっているかと思いますので、その段階になれば後進を育てたり、支店制度を活用して思い入れのある土地でがんばっていただいたり、という「恩を送る」側として活動していただくことになります。

 

4.おわりに

学生の方、すでに社会で活躍されている方、様々なハードルを抱える方、どのような属性の方であっても、「地域や地方、そこで活動されている方々のために、自身や資格の力を活用したい」という方と一緒に働くことができればと思っております。
石川県という地方の、しかも10人にも満たない会社に対してアクションを起こすことは勇気がいると思いますが、「小さな一歩」を踏み出してみませんか?
オンラインでも対面でも、弊社の士業と話すこともできますので、ぜひお問い合わせはこちらから、お待ちしております。

興味を持っていただいた方は、迅技術経営の採用ページもご覧ください。

また、弊社の採用については、以下の記事もご覧ください。
・どうして経歴や能力を重視しないのですか?
・「未経験から中小企業診断士」の診断士としての歩み

中小企業診断士に求められる「資質」とは?

中小企業診断士に興味を持たれている方、勉強中の方から「診断士に必要な資質はなんですか?」と聞かれることがあります。様々な資質が求められる資格だとは思いますが、士業を育て恩送りを重要視する弊社として考える「求められる資質」について書いております。

【2024年9月4日 投稿】
【2024年10月18日 更新】

こんにちは。
未経験ではあるが中小企業の支援がしたい、中小企業支援を通じて地域活性化の役に立ちたい。
そんな思いを持つ方々に対して「士業育成システム」や「恩送り」といった「共育恩送」の考え方を通じて実現のお手伝いをしている迅技術経営の小川です。

前回の記事に引き続き、中小企業診断士の勉強をしている、もしくは興味がある方からたまに聞かれる質問について書いていきたいと思います。
今回は、「中小企業診断士に求められる『資質』とは?」というテーマです。

記事作成時には気づきませんでしたが、2017年に弊社代表の西井まったく同じタイトルで投稿しておりました。
よければそちらもご覧ください。

 

◯小川の考え

中小企業診断士に求められる資質、持っていたほうがいい資質は多岐に渡ると思いますが、個人的に最も大事だと思っているものの1つが「小さな一歩を踏み出す力」だと思っています。

前回の記事にも記載しましたが、お客様の問題解決をサポートするためには、
①お客様の現状や抱えている問題を把握して整理する
②専門的な知識を背景に適切な解決策を選択し提示する
③こちらで解決できる場合は解決する、お客様に動いていただかなくてはならない場合はそのサポートをして問題解決に導く
④同じような問題や派生的な問題が起きないような対策を先回りして講じる、発生してしまった新たな問題に対して早期に解決する

という流れが必要になります。この流れの中では、
・人に対して興味を持ち、理解・共感・寄り添おうとすること
・起きている事象に対して何度も「なぜ?」を繰り返して根源的な問題を把握すること
・今の支援のあり方に満足せず、常に新しい知識やトレンドを吸収しようとすること
・経営者の方々と深い信頼関係を築けるよう、士業としてだけでなく人間としても成長すること
といった姿勢が必要であり、いずれも「現状から一歩踏み出す」ことで得られるものであり、これを繰り返していくことが大事だからです。

逆に考えると、過去や今のあり方や自分のスタイルといった、いわば「守り」の要素が強くなると、お客様の課題解決に貢献できなくなるだけでなく、より深いレベルでの変化・変革に対する支援ができなくなる、とも考えられます。

 

◯迅技術経営での考え方

通常、中小企業診断士の資格を持つ方を募集している会社では、それまでの背景を重視するところが多いと思います。それは、その方が即戦力として活躍していただけるかをはかることができるからです。

弊社(迅技術経営)では、経験の有無は問いません。むしろ、経験はないものの自身や社会に対してあるべき姿、実現したい姿を定め、資格を活用しながらそこに近づいていきたいという思いを持つ方と、互いに育て合いながら働いていきたいと考えています。

このため、まだ資格を持っていないという方に対しては、資格学校や受験代の費用補助をしているほか、すでに士業として夢や志に向かって活動している人と日々を共にすることで、弊社としての士業のあり方を体感していただけます。
また、資格取得後も奨学金のような形で夢や志を実現するための費用補助をしております(弊社では私を含め、これまでに3名が入社後に大学院を修了しています)。
自分のルーツとなった場所で自分の力を還元したい、という気持ちがある方に対しては、一定期間(10年程度)金沢で過ごしていただいたうえで戻っていただく「支店制度」も設けています。

学生の方、すでに社会で活躍されている方、様々なハードルを抱える方、どのような属性の方であっても、「地域や地方、そこで活動されている方々のために、自身や資格の力を活用したい」という方と一緒に働くことができればと思っております。
地方の、しかも10人にも満たない会社に対してアクションを起こすことは勇気がいると思いますが、「小さな一歩」を踏み出してみませんか?
オンラインでも対面でも、弊社の士業と話すこともできますので、ぜひお問い合わせはこちらから、お待ちしております。

興味を持っていただいた方は、迅技術経営の採用ページもご覧ください。

まちづくりと中小企業診断士

「まちづくり」という言葉には、実に多様な意味合いが含まれています。非常に聞こえがよく使い勝手もいい言葉であるために、人によって大きく意味合いや範囲が大きく異なります。今回の記事では、そもそもまちづくりとはなんなのかということに加えて、中小企業診断士ができるまちづくり支援のあり方について記載しています。

こんにちは。

未経験ではあるが中小企業の支援がしたい、中小企業支援を通じて地域活性化の役に立ちたい。
そんな思いを持つ方々に対して「士業育成システム」や「恩送り」といった「共育恩送」の考え方を通じて実現のお手伝いをしている迅技術経営の小川です。

以前、採用活動の一環としてまちづくりに興味を持つ学生さんと関わる機会がありました。
「まちづくり」というと、少なくとも数年前は学生さんの間で非常にホットなフレーズになっていたように感じます(今もそうかもしれません)。
そうした方々の中には、まちづくり団体を志望する方もいらっしゃれば、公務員を志望する方もいらっしゃいました。

私はそうした関わりの中で、学生さんたちが考える「まちづくり」と「士業ができるまちづくり」には少なからずギャップがあると感じました。

今回は中小企業診断士、もしくは士業と「まちづくり」について書いていきたいと思います。

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中小企業診断士の仕事(公的機関経由の専門家派遣)

中小企業支援のあり方は様々ですが、公的機関を通じた「専門家派遣」もその1つです。企業側の視点から相談~支援といった流れは多く紹介されていますが、専門家側の視点は意外とありませんでした。今回の投稿では弊社での専門家派遣の流れなどを説明しております。

こんにちは。中小企業診断士の小川(森)です。

先日、「公(おおやけ)からの仕事ってどんなことしてるんですか?」という質問をいただきました。

確かに「中小企業診断士 専門家派遣」などで調べてみると、相談する側(中小企業経営者)目線でのページは自治体や支援機関ごとに存在しますが、専門家側のページはあまり見当たりませんでした。

特に地方では、弊社がある石川県と同様、専門家派遣が経営者の皆様との接点になっているケースも多いと思います。取得したて・独立したての方にとっては大事な機会になっています。

そこで今回は、実はあまり知られていない(かもしれない)専門家派遣での中小企業診断士の支援のあり方について書いていきたいと思います。

<関連記事>
中小企業支援について(実務前と実務後の違い)
弊社代表の西井が中小企業支援について紹介したものです。よろしければご覧ください。

 

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診断士の更新を忘れてしまった

せっかく苦労して中小企業診断士の資格を取得したのに、5年に1回の更新手続きを忘れてしまったため資格を失ってしまった…そんな悲しすぎることにならないように、更新要件を確認してしっかり準備しておきましょう。本記事では、うっかりして有効期限が切れてしまっていた、そんな場合の対処を紹介しています。

【2024年3月1日 投稿】
【2024年8月2日 更新】

こんにちは。
中小企業を支援したい、中小企業支援を通じて地域を活性化したい、そんな思いを実現したいという方に対して、恩送りや士業育成システムを通じてお手伝いしている、迅技術経営の小川です。

中小企業診断士の資格は5年毎に更新しなければ継続することができません。
気づいたら資格の有効期限がギリギリに迫っていた、もしくは切れてしまっていた…そんな経験をしたことがある方もいらっしゃると思います。

今回は、中小企業診断士資格の有効期限が切れてしまった場合の対処方法について見ていきたいと思います。

今回の記事に興味を持っていただいた方はこちらもご覧ください。
中小企業診断士の実務補修を受けずに登録しました

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中小企業診断士として長く活動する魅力

中小企業診断士の魅力とはなんでしょうか。診断士を目指す方向けのサイトを見てみると、資格取得で自分がどう変わるかという視点での記事はたくさんありましたが、長期間の活動という視点で魅力が書かれているものはあまりありませんでした。この記事では長期間関わることでの魅力を紹介しています。

こんにちは。
士業として中小企業を支援したい、中小企業支援を通じて地域の発展に貢献したい、
そんな思いを実現したいという方に対して恩送りや士業育成システムを通じてお手伝いする迅技術経営の森です。

本当に早いもので、私は2013年2月に中小企業診断士として登録し、この記事の公開時点(2024年2月)で11年になります。
正直なところ、診断士になったときには10年という時間はあまり想像できていませんでした。
しかし、ありがたいことに多くの経営者さんと長いお付き合いをさせていただくご縁をいただくことができ、診断士(もしくは士業)としてとても大きな、でも当事者にならなければなかなか実感できない「魅力」があると思います。


そこで今回は、「長期間の支援」というテーマで書いてみたいと思います。

興味のある方は以下の記事もご覧ください。
中小企業診断士という仕事のモチベーションの保ち方
中小企業診断士という仕事をこよなく愛する人
【中小企業診断士の仕事がない】取っても食えない?

 

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若手診断士は増加している?

最近、20代~40代のいわゆる「若手」と呼ばれる中小企業診断士の方と接する機会が増えてきました。若手のみでの集まりもあるなど、動きが活発になってきていますが、受験者・資格保有者の実際の年齢構成はどうなっているのでしょうか?外部データからここ10~15年の推移を見ていきます。

【2024年1月11日 投稿】
【2024年6月28日 更新】

こんにちは。
中小企業を支援したい、中小企業支援を通じて地域を活性化したい、そんな思いを実現したいという方に対して、恩送りや士業育成システムを通じてお手伝いしている、迅技術経営の森です。

今日(令和6年1月11日)は中小企業診断士二次試験の 合格発表日です。
合格された方、おめでとうございます。
残念ながら不合格だった方、モチベーションの維持が難しいとは思いますが、来年に向けて一歩ずつ進んでいきましょう。

今回は中小企業診断士と年齢(特に若手診断士)について 書いていきたいと思います。
これまでも若手での中小企業診断士資格取得や取得後の転職についての記事を書いております。ご興味のある方はご覧ください。
・未経験者が中小企業診断士事務所に入る年齢(20代?30代?)
・中小企業診断士として20代で転職する
・若手(20代、30代)の中小企業診断士に需要はあるのか?
・「未経験から中小企業診断士」の診断士としての歩み

 

1.若手診断士に関する体感

私自身も20代で中小企業診断士に登録し、現在も30代ということで「若手」のくくりにまだ入っているかと思いますが、ここ5年程度で若手の診断士は大きく増加したように感じます。
20代はさすがになかなかお会いしませんが、30代から40代の方とお会いする機会は増えました。

また、20代の方で診断士を目指したい/目指しているという人も見かけます。

 

2.中小企業診断士受験者の年齢構成

私の体感が合っているか、実際のデータで見てみたいと思います。
まずは、受験者の年齢構成について、平成22年度(2010年度)から令和4年度(2022年度)まで並べてみました。
(出典元:中小企業診断協会「申込者・合格者にかかる統計資料」

これを見ると、40代以上の方で受験者数が増加しているように見えます。
絶対数だと年齢層ごとの増減がわかりづらいため、割合でも見てみましょう。

平成22年度では30代以下が全体の60%以上を占めていましたが、令和4年度では40%強まで減少しています。
その分50代が10.6%→20.7%とほぼ倍増しています。

この結果を見ると、私の体感とは真逆の傾向のようです。

 

3.中小企業診断士資格保有者の年齢構成

次に、資格保有者の年齢構成を見てみます。
こちらは資格保有者に対するアンケート結果に基づいたもので絶対数では単純比較できないため、割合のみです。
(出典元:中小企業診断協会「中小企業診断士に関するアンケートデータ」

平成17年度(2005年度)から令和3年度(2021年)にかけて、40代以下の割合が減少(約40%→約30%)し、50代以上の割合が増加(約60%→約70%)しました。

この15年ほどで日本全体の平均年齢が4歳ほど上昇しているため、(2005年度43.1歳→2021年度47.4歳(出典元はこちら))それと同様のスピードで診断士の年齢構成も上昇しているようです。

 

4.おわりに

現在取ることができるデータを見ていくと、私の肌感覚とは逆に診断士受験者・資格保有者ともにますます50代以上の方が中心となっているようでした。
経営者の新陳代謝が進んでいないことは有名ですが、経営者を支援する中小企業診断士もまた、若手の参入が進んでいないのかもしれません。

しかし、経営に関する課題はますます複雑になり、経営者の方々も我々診断士に対して最新の情報や知識の提供を期待しているだけに、若手診断士の需要はますます高まっていくように感じます。

 

弊社(迅技術経営)では、性別や学歴に関係なく、士業資格(中小企業診断士、税理士、社会保険労務士)の取得を通じて地域のために貢献したいという方に対して、「士業育成システム」による支援を行っています。
資格を取得して一人前になった後は、自らの故郷などで皆様の力を還元する取り組みも行っています。

採用も随時行っておりますので、こちらの採用ページをご覧ください。

女性診断士は少ない?(その2:女性経営者×女性診断士)

女性経営者は増加傾向にあるといわれていますが、実際のところどうなのでしょうか?また、女性経営者はどのような悩みを抱えているのでしょうか?女性診断士(士業)だからこそ可能な女性経営者に対する支援のあり方について考えるきっかけになれればと思います。

【2023年7月8日 投稿】
【2025年3月30日 更新】

こんにちは。中小企業診断士の森です。
前回に引き続き、「女性の中小企業診断士」のテーマです。

前回は、診断士受験者や合格者の中での女性比率、そして他士業と比較した女性比率の状況を見てみました。
近年は中小企業診断士を目指し、合格する女性が増加傾向にあるものの、他士業と比較すると依然として低い、ということがわかってきました。

今回は、少々乱暴な切り口ではあるものの、「女性経営者×女性診断士の可能性」という視点で書いていきたいと思います。

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女性診断士は少ない?(その1)

女性の中小企業診断士が少ない。診断士として(特に地方で)活動しているとよく感じることです。実際のところどうなのでしょうか?今回は中小企業診断士試験及び資格における女性の割合と他士業とのデータを比較しながら、以前と今、そして今後どうなっていくのかを見たいと思います。

こんにちは。中小企業診断士の森です。

女性の就業比率が高まっている昨今ですが、今回は「女性×診断士」という切り口で書いてみたいと思います。

ボリュームが大きくなりそうなので、今回は「他士業との比較を通じた診断士×女性」という切り口で書いていきます。

次回は少々乱暴であることを承知の上で、「女性経営者×女性診断士」の可能性について触れたいと思います。

結論を申し上げると、
・受験者、合格者ともに女性が絶対数でも割合でも増加している。
・でも他士業と比較するとまだまだ少ない
ということがいえそうです。以下、詳しくみていきましょう。

 

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中小企業診断士とMBAの違い

中小企業診断士とよく比較されるものの1つに「MBA(経営学修士)」があります。ご自身のキャリアを考える際に、どちらを取るべきか迷われる方も少なくないと思いますが、実はこの2つの共通点はそれほど多くなく、むしろ性質や適しているケースは異なる部分が多いと感じています。私感も含みますが、共通点と相違点についてまとめました。

こんにちは。北陸を中心に中小企業の支援をしている迅技術経営の森です。

中小企業診断士の取得を考えた時に誰もが一度は考えるのは、「中小企業診断士か?MBA(経営学修士)か?」という選択ではないでしょうか。

よく比較される2つだと思いますが、取得後のキャリアをどのように考えているかによってどちらを取得すべきかも変わってきます。

ありがたいことに、森はつい最近(2023年3月)まで大学院に通っており、MBAコースの学生さんたちとも近い距離にいたことから、中小企業診断士とMBAの共通点と相違点をまとめてみたいと思います。

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営業職から中小企業診断士への転身

営業職と中小企業診断士。あまり共通点がないように思われるかもしれませんが、実はこの2つの仕事には多くの共通点があると考えています。さらに、営業職ならではの苦しみ・葛藤は、意外と診断士の仕事では緩和されるかもしれません。営業職は好きだけど悩みもある…という方はぜひご覧ください。

【2023年4月3日 投稿】
【2023年5月1日 更新】

こんにちは。中小企業診断士の森です。
今回は「営業職と中小企業診断士」というテーマでお話してみたいと思います。

営業職と中小企業診断士にはあまり共通点がないため、営業職から中小企業診断士に転身する人は少ないと思う方も多いのではないでしょうか。
しかし、私は双方に活かせるスキルがあると考えています。

どんな部分がそれぞれの仕事に活かせるスキルになるのか、そして営業職から中小企業診断士に転身する理由、営業職と共通する中小企業診断士のやりがいなどを考察します。

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AIに代替されにくい中小企業診断士という仕事

【2023年3月3日 投稿】
【2024年5月16日 更新】

大変ご無沙汰しております。石川県の中小企業診断士の森です。
更新ができておらず申し訳ありませんでした。
更新していなかった時期のことも含め、
少しずつまた皆さんに情報をお届けしていきたいと思います。

今日は最近特に注目を集めている「AI(人工知能)」についてです。
直近ではAIチャットボットである「ChatGPT」が
大きく注目されています。

一方で、AIに代替されにくい仕事として、
中小企業診断士が注目されているのはご存じでしょうか。

日経新聞「AI時代のサムライ業(上)代替の危機 新事業に挑む(2017年9月25日記事)」より引用

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中小企業診断士資格取得後のキャリア形成(新卒診断士)

一般的に30代以上で取得されることが多い中小企業診断士ですが、筆者は新卒で中小企業診断士の事務所に就職し、24歳で資格を取得しました。診断士として5年、6年と経験を積む中で、バックグラウンドを全く持たない診断士がどのようにキャリアを蓄積していったのか、また今後のキャリアをどのように考えているのかを記載しています。

【2020年7月18日 作成】
【2023年7月11日 更新】
【2024年5月29日 更新】

こんにちは。中小企業診断士の森研介です。

以前この記事は中小企業診断士の資格を取得してから7年半の時点で作成しましたが、10年を超え、また記事作成から3年が経過したということで更新してみたいと思います。

 

また一次試験の日が近づいてきました。今年からは金沢でも受験が可能となり、
名古屋や大阪、東京まで出なくてよくなったので地元の受験者にとってはかなり楽になると思います。

一次試験は勉強時間と結果がある程度比例関係にあると思っております。
最後まで諦めず、1歩ずつでも着実に進んでいきましょう。

 

さて、多くの方は中小企業診断士という資格をご自身のキャリアの一環として捉えられていると思いますが、診断士として活動している身として、また資格を通じて夢を叶えることを応援する企業として、資格取得後のキャリアの状況について書いていきたいと思います。

(今日は私(森)の分ですが、シリーズ化して他の診断士についてもお話できればと思います)

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中小企業診断士の求人情報をまとめてみました(2020年6月時点)

こんにちは。中小企業診断士の森研介です。

 

中小企業診断士一次試験の日程は、
予定通り7月11日、12日となるようですね。
1ヶ月を切り、受験される方々は最後の追い込みに
入っている時期かと思います。

何かと外的な要因に振り回されがちですが、
目の前のことを一つ一つ着実に
積み上げていっていただければと思います。
(特に一次試験はこの積み重ねが本当に重要ですね)

さて、一次試験後にはおそらく就職先・転職先を
探される方も増えると思いますので、
今回はインターネット求人媒体大手のIndeedにおける
中小企業診断士の求人情報についてまとめてみました。

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中小企業診断士は浅く広く?狭く深く?

こんにちは。中小企業診断士の森研介です。

 

新型コロナウイルスの影響、皆さんお住まいの地域では
いかがでしょうか。
これまでと生活や時間の使い方が大きく変わった方も
多いのではないでしょうか。
中小企業診断士の一次試験まで、通常ならあと3ヶ月。
周りの変化に流されず、やるべきことを一つずつ
こなしていただければと思います。

さて、今回は「中小企業診断士の仕事の範囲」
について書いていきたいと思います。

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中小企業診断士の会社

「中小企業診断士の会社で働きたい」という質問をされることがしばしばあります。弊社を設立した2006年と比較すると、確かに診断士の方が代表をされている会社は増えてきたように思いますが、それでもまだまだ少ないように感じています。なぜそのような会社が少ないのか、増えないのかといったことに触れています。

中小企業診断士の森研介です。

中小企業診断士の会社ってどうやって探せばいいのですか?
ネットで検索したりしているのですが、ほとんど見当たりません。

私自身、この質問をいただくととっても困ります。

なぜならば、その質問をしている方の本意は、
中小企業診断士の個人事業の会社(いわゆる1人会社)
ではない会社はどうやって探せばよいのか?
ということが多いためです。

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副業としての中小企業診断士

こんにちは。中小企業診断士の森研介です。

 

新型コロナウイルスの影響、皆さんの側では
いかがでしょうか。
弊社のある石川県は、早い段階から感染者数が
急増した影響で「特定警戒都道府県」に
指定されております。

観光関連産業や飲食業などの業種を中心に
大変厳しい状況となっております。

このような時、我々中小企業診断士としては
できることが限られており、大変歯がゆい思いがあります。
一刻も早く、もとの生活に近い状況に近づくことを
祈っております。

 

さて、今回は「副業としての中小企業診断士」
についてお話していきたいと思います。

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平時と有事での中小企業診断士のあり方

中小企業診断士の森研介です。

前回の投稿からかなり時間が空いてしまいました。
しっかりと定期的に投稿を継続していきます。

 

さて、投稿が空いてしまった間に世の中では
新型コロナウイルスの感染が急速に広がりました。

私が聞く限りでは、ほぼすべての業種で
何らかの影響を受けていらっしゃいます。

今回の件による倒産や雇用の減少を防ごうと
様々な施策が打ち出されておりますが、
いつまで感染拡大が継続するかもわからず
おさまったとしても消費が戻る時期は
さらに先になると考えられることから、
まだしばらくは厳しい状況が続きそうです。

今回は、平時と有事における中小企業診断士の
あり方について書いていきます。

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中小企業診断士の募集

【2019年5月30日 投稿】
【2024年5月16日 更新】

こんにちは。中小企業診断士の森研介です。

中小企業診断士の募集は、いつ実施されて、具体的にどんな仕事が募集されていますか?

そんな質問を受けることがあります。

この質問は、中小企業診断士を目指している方というより、中小企業診断士として登録されて間もない方からお受けします。

個人的見解ですが、中小企業診断士に登録したものの、登録前とあまり環境が変わらないので何とか環境を変えたいという方が多いのではとお見受けしています。

中小企業診断士はどんな形で募集されているのだろう。そう思ってネットで検索してもこれはと思った情報が検索されないので聞いてみようという流れではないかと思っています。

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