中小企業診断士一次試験をデータで振り返る

「中小企業診断士の合格率は4%!」という言葉は、診断士や診断士試験に興味を持たれた方であれば聞いたことがあるフレーズだと思います。これは少なくとも10年以上前から言われていたことですが、実際のデータで振り返ってみるとどうなのでしょうか。この記事では、2009年度から最新年度までの合格率をグラフにして紹介しています。

【2019年7月23日 投稿】
【2025年7月21日 更新】

こんにちは。中小企業診断士の小川研介です。

中小企業診断士一次試験まであと少しになりましたね。
中小企業診断士の資格は、「合格率4%」や「難関資格」と言われることもあります。
今日は診断士の試験制度のおさらいと、2009年度からの合格率のデータを紹介していきたいと思います。

 

1.試験制度について

中小企業診断士試験は一次試験(毎年8月第一週の土日2日間)と二次試験(毎年10月後半の日曜日)、それから口述試験の3段階に分かれています。
口述試験は合格率がほぼ100%なので、一次試験と二次試験について書いていきたいと思います。

 

1-1.一次試験

経済学・経済政策、財務・会計、企業経営理論、運営管理、経営法務、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策の7科目から構成されています。
合格基準は総点数の60%以上(700点満点中420点以上)であり、かつ1科目も40%未満(100点満点中40点未満)の科目がないことを基準としております。

試験合格の有効期間は2年間(合格した年とその翌年)であり、この期間内であれば二次試験の受験資格があります。
また、科目合格(100点満点中60点以上)の制度もあり、3年間(受験した年、その翌年、翌々年)が有効期限です。

 

1-2.二次試験

二次試験は事例Ⅰ~事例Ⅳまでの4つの事例における筆記試験です。
大まかな傾向としては以下のとおりです。

事例Ⅰ:組織や人事に関連する戦略に係る事例
事例Ⅱ:販売戦略(マーケティング・流通等)の戦略に係る事例
事例Ⅲ:生産・技術面の戦略に係る事例
事例Ⅳ:財務・会計面の戦略に係る事例

試験のスタイルとしては、2~3ページからなる問題文に対して4~5問程度の設問があり、それに対して文章(20~120字程度)もしくは計算結果を回答していく、というものです。
合格基準は一次試験と同じく、総点数の60%以上で、かつ1科目も40%未満のものがないことを基準としております。

 

2.合格率

ここでは2009年度から2023年度までの合格率の推移を見ていきたいと思います。

 

試験合格に関しては、2009年度から2017年度ごろまでは概ね20%強で推移していましたが、2018年度以降はやや上昇傾向にあり、2020年度はCOVID-19の影響もあってか42.5%になりました。その後はやや落ち着き、2022年度以降は30%弱で推移しています。

科目別では2%程度から50%まで、かなり年によって幅があることがわかりますが、2017年度、2018年度と難化した後、徐々に落ち着いてきたようです。

二次試験の合格率は17~25%と一次試験と比べてやや振れ幅は小さく、直近5年程度は18%台で推移しています。
全体では、一次試験合格率30%×二次試験合格率18%=5.4%
が近年の実績といえそうです。

こうして時系列でデータを比較すると、見えてくるものがありそうですね。
先ほど試験制度の部分でも書かせていただきましたが、中小企業診断士試験の特徴は、科目合格、一次試験合格ともに有効期間があるという点です。
この有効期限をうまく使っていくことが、資格取得に向けた勘所になっているように思います。

次回は私(小川)が思う「時間が限られている社会人の方でも資格取得を目指していける方法」について書いていきたいと思います。
中小企業診断士試験の勉強をする時間がとれない!という方へ

 

3.おわりに

学生の方、すでに社会で活躍されている方、様々なハードルを抱える方、どのような属性の方であっても、「地域や地方、そこで活動されている方々のために、自身や資格の力を活用したい」という方を募集しています。
石川県という地方の、しかも10人にも満たない会社に対してアクションを起こすことは勇気がいると思いますが、「小さな一歩」を踏み出してみませんか?
オンラインでも対面でも、弊社の士業と話すこともできますので、ぜひお問い合わせはこちらから、お待ちしております。

興味を持っていただいた方は、迅技術経営の採用ページもご覧ください。

中小企業診断士試験直前期に合格イメージを考えてみませんか?

中小企業診断士の西井克己です。

2017年12月8日は、中小企業診断士2次試験の筆記合格発表の日でした。

合格された方は、口述試験頑張ってください。

口述試験は、ちゃんと受け答え(会話)ができていれば大丈夫です。
答えた内容というより、ちゃんと答えているということが重要だと個人的には思っています。

私の場合は、何にもわからない質問をされたときのための答えを用意していました。
その答えは、
その質問に対する的確な答えができないと思われるため、
都道府県等支援センタや商工会議所・商工会や中小企業団体中央会等の
中小企業支援機関に相談することをすすめます。
というものです。
海外展開の話であれば、中小機構さんやジェトロさんということになると思います。

結局この答えを使うことはなかったのですが、万が一の時の備えがあると安心して対応できると思います。
もし使えると思っていただいた方は、ご活用いただけると幸いです。

さて、万が一の備えではないですが、自分のあるべき姿や達成した姿を思い描きながら、
前にすすめるときとそうでない時では、心の持ちようが違います。

中小企業診断士試験の直前期対策として、合格イメージを考えながら試験勉強することも効果があるかも知れません。

以前の記事中小企業診断士直前期モチベーションの保ち方では、試験後にやることを決めておくこと等を紹介しましたが、
試験後ではなく合格後のイメージを思い描くことも重要だと思います。

すなわち、合格した後自分はどうなっているのか?
診断協会に入会し、勉強会に参加し、自己研鑽や中小企業診断士同士の人脈を形成している。会社外にネットワークを構築している。
今の会社を辞め、中小企業診断士として独立している。
Uターンして、地元に戻って中小企業診断士として活躍している。
中小企業診断士の資格を活用して、自分のやりたい仕事を行っている(社内の異動か転職)

人それぞれ思いがあって中小企業診断士試験に取り組んでいますので、思いの数だけ合格後のイメージが存在すると思います。

直前期はモチベーションが下がるかたと上がる方と双方いらっしゃると思います。
双方ともに合格後のイメージをきっちりと持って、将来を思い描きながら試験に向かっていけると意欲が高まると思います。

直前期は特に、そんなことを行っても1つでも2つでも覚えたいと考えるかもしれませんが、
それは皆さん同じ状況ですので、案外そうでない方法で自分の気持ちをたかめるほうが差別化になるかも知れませんよ。

頑張ってください。

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中小企業診断士一次試験合格を転職時の履歴書に書くか?

中小企業診断士の西井克己です。

中小企業診断士一次試験に合格し、二次試験に落ちた。
本当は2次試験に合格してから転職する予定であったが、1次試験合格で転職できないか
と1次試験合格者対象の求人を探してみる。
1次試験合格対象者の求人はほとんどない。
最終合格もしていないので履歴書に書いても意味がないのではないか?
こう考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この場面は、私自身が経験した場面です。
その当時私は、中小企業診断士と関連のある士業事務所であれば、中小企業診断士1次試験合格と履歴書に記載しましたし、
そうでない場合は、記載しませんでした。

立場が変わって現在私は、採用面接する側になっています。
その視点から考えると、転職時の履歴書に中小企業診断士1次試験合格はぜひ書いてほしいと思います。

その理由を2点あり以下に示します。
1 中小企業診断士1次試験合格は、一定の努力ができる方と疎明できる判断材料になる
 これは、学歴や職歴と同様です。
 面接する方は、履歴書や職務経歴書等をきっかけに、入社を希望される方がどのような方なのか?
 特に、自社の考え方(経営理念)にあっている方なのかを見ております。
 面接する方は、入社を希望する方が何の努力もせず自社に適合するとは全く考えておらず、入社後にご努力をいただくことでどれだけの伸びしろがあるか?その伸びた時を想定(期待)して入社をお願いしております。そのため、分野は違えど一定の努力ができる方というのは面接する側にとっては評価ポイントとなります。

2 一定程度の知識を持っている方と判断できる
 中小企業診断士一次試験の内容は、中小企業を経営する上で役立つ知識が網羅されています。
 どんな企業も、問題(課題)のない会社はありません。現場で働いていても、管理部門で働いていても、営業で働いていても中小企業診断士一次試験の知識が活かされる(それを深堀するきっかけ)は必ずあります。その広い知識を基に会社を一緒に良くしてくれる。そんな期待を持たれるかもしれません(これが企業に勤めていらっしゃる方が中小企業診断士試験に挑戦する理由の1つになっているのかもしれません)。
中小企業診断協会が公表している平成28年度中小企業診断士1次試験受験者の統計結果から見ても民間企業勤務者が全体の半数を超えております。


このページで、何回か記載させていただいておりますが、資格はあくまで目的に近づくための手段なので
資格が目的と思われるとマイナスのイメージを持たれるかもしれませんが、原則的には良い印象を持たれると思います。

是非中小企業診断士1次試験合格と履歴書に記載し、なぜその試験を目指しているのか?

将来的にどのような人材になりたいのか(ありたい姿)を述べてください。

皆さんの本気を示すといいと思います。

2017年12月2日追記
前日ブロックス(http://www.doit-fun.jp/)さんが主宰する試写会が金沢で開催され、私を含め社員4名で参加してきました。
その時に本気について、ブレーンストーミングを行いました。
本気とやる気の違いについて面白い議論ができましたので紹介します。

本気は行動すること
やる気は思うだけ。

企業は本気で仕事できるひとを求めています。
中小企業診断士になりたいと思う人はたくさんいますが、その中で行動して1次試験合格という事実を勝ち取っている。
これはアピールすべきではないか?
改めてそう思いました。

中小企業診断士西井克己が経営している迅技術経営(中小企業診断士4名、社会保険労務士1名)では、金沢で修業(10年ぐらい)して、故郷で支店を出したいという思いにも対応したいと思っていますのでご相談ください。

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