一次試験は実務の役に立つのか?

中小企業診断士の一次試験に対するご意見の中に「一次試験の内容は実務の役に立たない」というものがあります。一次試験はマークシート式で暗記物が多く、ともすると「覚えること」が目的になりかねません。でも、本当にそうした知識は実務の役に立たないのでしょうか?一次試験と実務は意外と近い位置関係にあるのかもしれません。

こんにちは、士業育成システムや恩送りを通じて
経験の有無にかかわらず、中小企業や地域の支援に対する
思いの実現を支援している迅技術経営の森です。

 

少し前の話になりますが、今年も中小企業診断士の一次試験が
8月5日、6日の日程で開催されました。
そして、来週9月5日に結果が発表されます。

受験された方はすでに二次試験対策に目を向けていると
思いますが、今日は一次試験について聞かれることが
非常に多い、

「一次試験の内容って実務に役立つの?」

という疑問に答えてみたいと思います。

なお、診断士に求められる役割については、
こちらの記事をご覧ください。
中小企業診断士は浅く広く?狭く深く?

 

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中小企業診断士の二次試験は実務に役立つのか?

「中小企業診断士の二次試験は実務の役に立ちますか?」診断士として活動していると、資格取得を目指している方からこういった質問をよくいただきます。二次試験では事例企業に対して診断士としてどのような助言をするか、という点について記述式での回答が求められます。実際のところ、試験と実務にはどのような関連があるのでしょうか?

こんにちは。中小企業診断士の森です。

いよいよ二次試験が今週末になりました。
試験勉強の進捗はいかがでしょうか。

今日は、自分自身が勉強中に気になっていたことである「勉強している内容が果たして実務に役立つのか」という点について書いていきたいと思います。

前回の記事でもお話したとおり、中小企業診断士の二次試験は事例を踏まえた記述試験です。
事例企業について記載された文章(予見文)を踏まえて、与えられた問題に対して20~200字程度で解答するスタイルです。

(例外的に事例Ⅳは計算問題があります)

記述問題なので、確固たる解答があるわけではなく、資格の学校によっても模範解答が異なります。

得点のポイントが公表されているわけではありませんが、
「記載すべきポイントがきちんと記されているか」
「文章としての起承転結がしっかりしているか(支離滅裂でないか)」
「与えられた文字制限に対して適切な文量であるか」
といった点が要素となり、得点・減点がなされているものと思われます。

さて、今日のテーマである「実務に役立つのか」という点についてですが、「部分的には」役に立つ、という言い方が適切かと思っています。

いい点としては、
「論理的な思考が身につくこと」
「自分なりの分析スタイルが身につくこと」
などが挙げられるかと思います。

予見文は通常、2ページ以上に渡ることが多く、限られた時間の中で正確に内容を読み取ることが求められます。
自分なりのスタイル(論理)を確立し、それに従って様々な事例を分析する、ということは、中小企業診断士の資格取得後にも(そのままではないものの)活かすことができるものです。

一方、現実の中小企業支援との決定的な差は、「与えられた答えがあるかどうか」です。
試験はあくまで試験ですので、必ずどこかに答え、もしくは答えのヒントになる記述がありますが、現実世界では答えのないところに答えを探しにいくということが大半です。

与えられた情報を基に自ら分析し、仮説を立て、対策を打つ。
さらに将来の方向性を決める段階では、経営者の方々の意思を形にして、その実行を支援する。

これはやはり答えが与えられている試験ではなかなか身につきにくいものだと感じています。

弊社では、資格の取得を目指される方に対して、勉強に集中できる環境と、資格取得後の実務の補佐をご経験いただける環境を整えております。
経験はないが、中小企業の支援をどうしてもしたいという熱い想いをお持ちの方、また診断士制度や仕事内容、考え方、将来などについてはコメントを通じてお受けしております。
こちらのお問い合わせページからお願い致します。

経験でも中小企業支援への思いを持つ方を随時募集しております。資格取得後10年程度の期間、金沢で腕を磨きその後故郷に戻って還元する取り組みも行っています。
採用についての詳細はこちらの採用ページをご覧ください。

皆さまの健闘を祈ります。

中小企業診断士 二次試験対策について

こんにちは。北陸で新卒から中小企業診断士として活動している森です。

早いもので10月に入り、中小企業診断士二次試験まで3週間となりました。

受験される方は、最後の追い込みの時期にさしかかっていると思います。

今回は、曲がりなりにも二次試験を突破した身として、

二次試験の対策についてお話したいと思います。

森は1度目(一次試験に合格した年)の二次試験は不合格で、2年目に合格しました。

1回目は8月まで一次試験の対策のみを行なっていて、

二次試験の対策は全くしていませんでした。

お盆明けから本格的な勉強を始めたものの、

一次試験とのギャップに自分なりの勉強法を確立できないまま

試験当日をむかえてしまい、合格ラインにはかなり遠い

結果だったことを覚えています。

(確か、事例ⅠがB、事例ⅡとⅢがC、事例ⅣがDだったと思います)

2年目は二次試験対策に時間を割くことができたため、

まずは時間がかかってでも自分なりに事例企業の

分析をしっかりすることから始めました。

なかでも特に気をつけたのは、問題文の解釈とSWOT分析、

そして過去現在未来の整理です。

問題文を予見文より先に読むことはおそらく定石として

紹介されていると思いますので割愛したいと思いますが、

SWOTと過去現在未来に関しては自分なりのまとめ表のスタイルを考え、

それを使い続けるようにしていました。

これまでこの会社はどうだったのか、

今この会社はどうなのか、外部環境はどうなのか、

今後この会社はどのような方向に進もうとしているのか。

この点をきっちりと整理するスタイルが確立できてからは、

模試などでも点数が安定してきたように思います。

今は二次試験まであまり日がありませんので、

今からスタイルを変えることはオススメでできませんが、

点数が安定しなくて悩んでいる方がいらっしゃれば

参考にしてみてください。

また更新いたします。

中小企業診断士試験の勉強をする時間がとれない!という方へ

こんにちは。中小企業診断士の森です。

少し遅くなりましたが、一次試験を受験された方、
本当にお疲れさまでした。

一次試験はマークシートなので、翌日には自分の点数が
把握できているかと思います。
ありがたいことに、弊社にも一次試験を合格した旨の
ご連絡を何名かからいただきました。

合格見込みの方、本当におめでとうございます。

次は10月20日の二次試験。一次試験とは勉強方法が
大きく異なりますが、残り2ヶ月ほどを大切に
過ごしていただければと思います。

さて、前回の最後にもお伝えしましたが、今回は社会人の方々でも
中小企業診断士の勉強を進めていく方法についてお話したいと思います。

とはいっても、前にもご紹介させていただいたとおり、
筆者である森が中小企業診断士の資格勉強を開始したのは
大学四年生の時、つまり時間が余るほどある時期でした。

ただ、中小企業診断士の試験に(曲がりなりにも)合格した身として、
合格するための方法論をお話することはできるのではと思い、
あえてこのテーマについて話すことにいたしました。
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中小企業診断士一次試験をデータで振り返る

こんにちは。中小企業診断士の森研介です。

中小企業診断士一次試験まであと一週間と少しになりましたね。
中小企業診断士の資格は、「合格率4%」や「難関資格」と
言われることもあります。
今日は診断士の試験制度のおさらいと、この10年間の合格率のデータを
紹介していきたいと思います。

<試験制度について>
中小企業診断士試験は一次試験(毎年8月第一週の土日2日間)と
二次試験(毎年10月後半の日曜日)、それから口述試験の3段階に分かれています。
口述試験は合格率がほぼ100%なので、一次試験と二次試験について書いていきたいと思います。
○一次試験
経済学・経済政策、財務・会計、企業経営理論、運営管理、
経営法務、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策
の7科目から構成されています。
合格基準は総点数の60%以上(700点満点中420点以上)であり、
かつ1科目も40%未満(100点満点中40点未満)の科目がないこと
を基準としております。
試験合格の有効期間は2年間(合格した年とその翌年)であり、
この期間内であれば二次試験の受験資格があります。
また、科目合格(100点満点中60点以上)の制度もあり、
3年間(受験した年、その翌年、翌々年)が有効期限です。

○二次試験
二次試験は事例Ⅰ~事例Ⅳまでの4つの事例における筆記試験です。
大まかな傾向としては以下のとおりです。
事例Ⅰ:組織や人事に関連する戦略に係る事例
事例Ⅱ:販売戦略(マーケティング・流通等)の戦略に係る事例
事例Ⅲ:生産・技術面の戦略に係る事例
事例Ⅳ:財務・会計面の戦略に係る事例
試験のスタイルとしては、2~3ページからなる問題文に対して
4~5問程度の設問があり、それに対して文章(20~120字程度)もしくは
計算結果を回答していく、というものです。
合格基準は一次試験と同じく、総点数の60%以上で、
かつ1科目も40%未満のものがないことを基準としております。

<合格率>
ここでは2009年度以降10年間の合格率の推移を
見ていきたいと思います。

試験合格に関しては、概ね20%強で推移しておりますが、
科目別では2%程度から50%まで、かなり年によって幅が
あることがわかります(平均は17%程度)。
(科目別合格率には試験合格者が含まれていませんので、
実際はもう少し高いと思われます。また、あまりに
平均点が低い場合は得点調整(全員に加点)がなされる
場合もあります)
また、二次試験の合格率も概ね20~25%程度ですので、
これが「合格率4%(一次試験20%×二次試験20%)」と
いわれる所以です。

こうして時系列でデータを比較すると、見えてくるものが
ありそうですね。
先ほど試験制度の部分でも書かせていただきましたが、
中小企業診断士試験の特徴は、科目合格、一次試験合格ともに
有効期間があるという点です。
この有効期限をうまく使っていくことが、
資格取得に向けた勘所になっているように思います。

次回は私(森)が思う「時間が限られている社会人の方でも
資格取得を目指していける方法」について書いていきたいと思います。

またお時間がございましたらご覧ください。

中小企業診断士の実務に役立つ勉強方法について

【2018年4月30日 作成】
【2018年10月10日 更新】

中小企業診断士の勉強は、どれだけ実務の役に立ちましたか?
この質問を受けると答えに詰まります。
中小企業診断士の試験勉強はどのくらい実務に役立ちますか
でも記載した通り他の資格と同様にほとんど役に立たないからです。

ただ、試験で得た知識をきっかけに、現場で掘り下げる。このことを繰り返すことでほんとの実学になるきっかけにはなりえます。

そこで、この頃は、役に立たないと言い切るよりも少し考えて前向きに回答するようにしています。

実務に役立つ勉強方法ってどんな勉強方法なのだろうと自分自身自問自答した結果を回答しています。

ただし、あまり実務よりになると試験問題に素直に取り組めなくなるのであまり、ほどほどにご活用いただけると幸いです。

中小企業診断士の試験は、1次試験はマークシートなのですが、2次試験は記述です。マークシートはどうしても広く浅くになり、答えも決まっているのでやはり、あまり実務に役に立たないという回答になります。
一方で2次試験は、記述式なので、実務に役立つ勉強方法があるのではないかと考えました。
結論からすると、すなわち相手の立場になって考えるという視点を持ちながら回答することです。

具体例を挙げると
中小企業診断士の仕事の中で診断助言は、経営者からいろいろ情報をいただき、ヒアリングをし、そのうえで、相手が悩んでいること、できそうなことを勘案し、提案書が作成されます。その中で、重要なのが資料や情報以上に大事な要素が相手の意思です。どんなに素晴らしい助言や提案をしても、苦手なことややりたくないことであれば結局うまくいきません。
一方で、中小企業診断士の試験も、限られた紙面の中で出題者はいろいろ頭を悩ませて、回答者にメッセージ(意思)をくださっています。
どんなに素晴らしい回答をしていても、相手の意図したところでないといい点はもれえません。
中小企業診断士の試験も、問題文を勘案して、出題者が意図している大枠の意思(ストーリー)を把握することは大事です。

すなわち、中小企業診断士の試験で相手の意図(大枠)を把握することは、中小企業診断士として、中小企業経営者の思いを汲み取ることにつながることから、共通項はあるのではないかと思っています。

試験問題も実務も人間がすることですから相手の立場になって考えるという視点はとても大事だと思います。

参考にできる方は是非参考にしていただければと思います。

2018年10月10日追記
中小企業診断士の試験も、問題文を勘案して、出題者が意図している大枠の意思(ストーリー)を把握することは大事と記載いたしました。
私自身、中小企業診断士として、会社の事業評価を行うことが少なからずあります。
事業評価をする時、個別の経営指標や人事関連やビジネスモデルなどいろいろな切り口で、事業評価を試みるのですが、
いつも心がけているのが、木を見て森を見ずにならないことです。
すなわち、大局観が中小企業診断士にとって大事と感じています。
これは、駆け出しのころは全く気付かなかったのですが、この会社はこんな感じと大局観をもって事業評価にあたること、そして、その大局観をもって説明すべき相手に説明する事がとても大事だと感じています。

中小企業診断士の試験の2次試験で少し行き詰った時、この大局観を思い出してください。

中小企業診断士西井克己が経営している迅技術経営(中小企業診断士4名、社会保険労務士1名)では、金沢で修業(10年ぐらい)して、故郷で支店(北陸3県を除く)を出したいという思いにも対応したいと思っていますのでご相談ください。

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仕事と中小企業診断士試験勉強を両立するためには

中小企業診断士の西井克己です。

タイトルの「仕事と中小企業診断士試験勉強を両立するためには」は、中小企業診断士受験生からよく質問されることです。

中小企業診断士は、他の資格試験と違いほとんどの方が仕事をしながら試験勉強をした方がほとんどと思われます。
これは、新卒で中小企業診断士事務所に就職すべきか?で中小企業診断協会
が発表した合格者の職業を見るとその傾向が分かります。
平成28年のデータを見ると合格者842人の内、学生は13人、その他(無職含む)54人ですので、合格者全体の92%が、
職を持たれていることが分かります。

仕事と試験勉強の両立方法は、人それぞれ職場環境も家庭環境も異なりますのであまり一般化できないと思いますが、
自身の経験や弊社社員の状況を踏まえてお伝えしたいと思います。

1 学習時間の確保

 働きながら中小企業診断士の試験勉強をするためには、まず、学習時間の確保が大切です。
 毎日1~2時間は確保したほうが良いと思います。
 私の学習スタイルを以下に示します(1年目1次合格、2年目2次合格)
 平日  AM6:30-8:00に会社近くのスターバックスで勉強
 土曜日 TACに通って1日勉強
 日曜日 家族との時間
 1年目はこのような形で進めていました。
 2年目はどうしても合格したいという思いから、試験直前3か月は、日曜日も勉強をさせていただきました。
 私の場合家族の理解もあり、2年目の直前期は休日をすべて使わせていただきましたが、
 家庭を持ちながら休日のすべてを勉強に使うことは難しいと思います。
 
 弊社社員の場合は、資格試験勉強中は、週4日勤務週3日休みのため、
 平日は、1-2時間程度で、週に2日は、勉強に専念していた方が多いようです。

2 家族の理解
 1で記載した通り、試験勉強中は、家族との時間がかなり少なくなります。どのくらいの学習時間とするのか
 そして何年をめどに合格するのかを宣言する必要があります。
 (私の場合2年要しましたが、受験勉強中に第一子を授かりましたので、おそらく3年が限界であったかもしれません)。

3 スランプに陥ったときにすることを決めること
 仕事も忙しく、試験勉強も忙しい。長い試験勉強中に、スランプに陥ることがあるかも知れません。
 私の場合は、なぜ中小企業診断士になりたいかという思い紙に書き、スランプの際は、それを読み直すことで
 気持ちをリセットすることができました。
 なにか、スランプに陥ったときのルーティンを決めておくこともよいかもしれません。
 そのルーティンがいつも通りできるかできないかで客観的に自分の状態も知ることができます。

中小企業診断士試験は、受験資格もありません。皆さん受験できる試験です。
学習時間を毎日確保して、頑張り続けることで2年程度で合格レベルに達する試験です。

まずは、学習時間の確保そして家族の理解を得てから勉強に取り組んで頂けると幸いです。

中小企業診断士西井克己が経営している迅技術経営(中小企業診断士4名、社会保険労務士1名)では、金沢で修業(10年ぐらい)して、故郷で支店(北陸3県を除く)を出したいという思いにも対応したいと思っていますのでご相談ください。

西井に会いたいと思っていただけた方は、北陸方面であれば土曜日に会社(金沢)でお会いできます。
関東・関西方面の方は、東京、大阪出張の際に調整をしてお会いしていますので問い合わせください
(これまで出張の際にお会いした方は10名程度いらっしゃいますのでお気軽に)。

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