【2023年9月1日 投稿】
【2025年7月21日 更新】
こんにちは、士業育成システムや恩送りを通じて経験の有無にかかわらず、中小企業や地域の支援に対する思いの実現を支援している迅技術経営の小川です。
少し前の話になりますが、今年も中小企業診断士の一次試験が8月5日、6日の日程で開催されました。
そして、来週9月5日に結果が発表されます。
受験された方はすでに二次試験対策に目を向けていると思いますが、今日は一次試験について聞かれることが非常に多い、
「一次試験の内容って実務に役立つの?」
という疑問に答えてみたいと思います。
なお、診断士に求められる役割については、こちらの記事をご覧ください。
中小企業診断士は浅く広く?狭く深く?
目次
1.一次試験の概要
まずは、もうご存知だとは思いますが、一次試験の内容について改めて振り返ってみましょう。
一次試験は以下の7科目で構成されます。
A 経済学・経済政策
ミクロ経済、マクロ経済
B 財務・会計
会計(簿記)、ファイナンス
C 企業経営理論※
経営学全般
D 運営管理(オペレーション・マネジメント)※
製造業の生産管理、小売・流通業などの運営管理
E 経営法務
機関設計、知的財産権
F 経営情報システム
情報通信技術、経営情報管理
G 中小企業経営・中小企業政策※
中小企業白書、小規模企業白書に記載された統計、 各種中小企業支援施策
※がついている科目は90分、それ以外は60分
マークシート方式、計算機などの使用は不可、各科目100点満点で60点以上で科目合格、全科目合計420点以上で一次試験合格です。
また、たとえ全科目合計が420点以上でも1科目でも40点未満があれば一次試験合格とはなりません。
2.一次試験で出題される内容
試験方式がマークシートであることからもわかるとおり、いわゆる「暗記物」と呼ばれる内容が多いことが特徴です。
財務・会計など、一部の科目で計算が必要とされることもありますが、基本的には応用ではなく持っている知識を問題に照らし合わせてアウトプットするという形式の試験です。
テキストも資格学校各社から出されており、記載されている内容の資格学校ごとの違いもそれほど大きくないように感じます。
3.一次試験と実務の関係
今回の主題である「一次試験は実務に役立つのか?」という点に迫っていきたいと思います。
かれこれ10年以上実務をやっている中での所感としては、
「100%ではないけれど意外と役立つ知識が多い」
です。
科目によっても異なりますが、特に財務会計や法務、情報に関しては経営者の方々も十分な知識を持っていないことが多く、また政策によって変化することも特徴です。
会話の流れで、
「この会計処理ってどうしたらいいんでしたっけ?」
「商標って何年有効なんでしたっけ?」
という質問を突然受けることは結構あります。
経営者さんからすると、◯◯のことは◯◯士、△△のことは△△士、といった使い分けは非常に面倒です。
深い知識までは必ずしも求められないでしょうが、経営全般に関わる知識を広く求められる立場にあるという点で、一次試験の知識が役に立ちます。
また、診断士の重要な役割の1つが「問題点や課題を整理すること」だと思います。
整理するにあたっては何らかの「軸」を活用すると便利で、この軸になりうるのが企業経営理論で学ぶいわゆる経営学全般の知識になると思います。
企業経営理論で学ぶ内容だけで十分とは思いませんが、最低限持っているべき知識だと感じています。
4.おわりに
これまで挙げてきたように、意外と一次試験と実務は繋がっている部分が多いのではないか、と考えています。
とはいえ、やはり実際の経営の現場を見る中で血肉になっていくことの方が圧倒的に多く、一次試験で得てきた「知識」を現場で使える「知恵」に変換していくことが、資格取得後の課題になるのでしょう。
また、経営者の方々は診断士に対して「なんでも答えてくれる人」という期待を持っています。
その期待を上回り、満足・感動を感じていただけるよう資格取得後も知識の充足も並行しなければなりませんね。
弊社(迅技術経営)では、性別や学歴に関係なく、士業資格(中小企業診断士、税理士、社会保険労務士)の取得を通じて地域のために貢献したいという方に対して、「士業育成システム」による支援を行っています。
資格を取得して一人前になった後は、自らの故郷などで皆様の力を還元する取り組みも行っています。
採用も随時行っておりますので、こちらの採用ページをご覧ください。