中小企業診断士とMBAの違い

中小企業診断士とよく比較されるものの1つに「MBA(経営学修士)」があります。ご自身のキャリアを考える際に、どちらを取るべきか迷われる方も少なくないと思いますが、実はこの2つの共通点はそれほど多くなく、むしろ性質や適しているケースは異なる部分が多いと感じています。私感も含みますが、共通点と相違点についてまとめました。

こんにちは。北陸を中心に中小企業の支援をしている迅技術経営の森です。

中小企業診断士の取得を考えた時に誰もが一度は考えるのは、「中小企業診断士か?MBA(経営学修士)か?」という選択ではないでしょうか。

よく比較される2つだと思いますが、取得後のキャリアをどのように考えているかによってどちらを取得すべきかも変わってきます。

ありがたいことに、森はつい最近(2023年3月)まで大学院に通っており、MBAコースの学生さんたちとも近い距離にいたことから、中小企業診断士とMBAの共通点と相違点をまとめてみたいと思います。

1.それぞれの制度の比較

中小企業診断士 MBA(経営学修士)
位置づけ 国家資格 各大学院(ビジネススクール)の修士号
学習内容 中小企業経営・中小企業支援に関わる幅広い知識 経営や起業・事業運営に関わる知識と実践方法
学習期間 1~3年程度
(弊社に所属する診断士は概ね2年間)
主に2年間
(1年間で修了できるところもあるようです)
費用 受験だけ:3万円程度
本を購入して独学:5~10万円
予備校利用:20~30万円
国内の大学院・ビジネススクール:100~400万円
海外の大学院・ビジネススクール:1,000~3,000万円
学習方法 基本的に独学 独学+グループワーク
(学校により異なる)
更新の有無 5年毎に更新
(一定量の研修と実務経験が必要)
学位のため更新なし

よく比較される2つの制度ですが、個人的にはそれほど共通点は多くないと感じています。
せいぜい、企業経営に関する一定の知識を得られるということくらいではないでしょうか。

学習内容も似ているといわれることもありますが、中小企業診断士は一次試験で経営学・経済学、財務会計、運営管理、情報・システム、経営法務、政策といった内容について「広く・浅く」学習するものです。
二次試験はそれらの知識を活用することもありますが、どちらかというと事例企業の情報を正しく把握する「読解力」や「論理的思考」を問われるものです。

一方、MBAは通う学校によって大きく異なりますが、経営に関する幅広い知識を押さえた上で、「人的資源管理」や「マーケティング」、「海外ビジネス」などといった領域について興味とキャリアに応じて選択することでより専門的な知識や実践力・応用力・意思決定力を習得するところが多いように感じます。

 

2.取得を通じて得られるメリット

2-1.中小企業診断士

診断士を取得して得られるメリットをざっくり挙げると、

・経営に関する網羅的な知識や論理的思考力の獲得による能力向上
・国家資格を持っていることによる信頼感や評価の向上
(独占資格がないことを指して取得の魅力がないと言われることもありますが、
実務上では診断士でなければできない仕事もたくさんあります)
・診断士のコミュニティ参加によるネットワークの拡大
(資格勉強中、実務補修、資格取得後)

といったところでしょうか。

余談にはなりますが、デメリットについてはこちらの記事をご参照ください。

2-2.MBA

こちらは私は取得していないので事実とは異なる点があるかもしれませんが、

・「MBA」という肩書を持つことによるセルフブランディング
(卒業する大学院/ビジネススクールによって評価は大きく異なります)
・実務に役立つ知識や様々な場面での意思決定力獲得による経営への還元
・ビジネスという枠を超えて共に学んだ仲間との関係

といった点だと思います。
特に森自身が大学院に通って感じたのは3つ目の人間関係です。
社会人を長くやっていると、仕事のしがらみがない人間関係を構築することは難しくなっていきますが、「学校」という場でお互いの立場や肩書を気にせず意見を交わせる関係ができることは大きな利点でした。
ビジネススクールはチーム単位で活動することが多いので、なおさらなのではないでしょうか。

 

3.どんな方は中小企業診断士を目指したほうがいいか?(主観を含みます)

次に、MBAと比較した上で、中小企業診断士を目指したほうがいい方の条件を
考えていきたいと思います。

・中小企業の支援、地域に根づいた支援をしたいという方(活動するフィールド)

これは言わずもがなかもしれませんが、中小企業や地域の活性化に貢献したいという方には中小企業診断士が適していると思います。

診断士として活動してみて感じるのは、当初思っていた以上に地域に住む方々との
距離感が近いということです。
診断士としての活動のあり方にもよると思うのですが、中小企業は企業の活動と日常生活が地続きになっていることも多く、仕事/プライベートという枠を超えて地域に住む方々と関わることができる、ということは個人的には大きな魅力です。

・支える立場、伴走する立場が性に合っている方(活動するポジション)

MBAでは企業の意思決定を担う立場として、組織やプロジェクトのマネジメント、ビジネスの立ち上げ等といった能力を養うことを目的としている学校が多く、学生もそのような「自らが主体となって何かに取り組む」という立場の方が多いように感じます。

一方、診断士の活動は、あくまで「経営者の支援者/伴走者」としての活動ですので、自らが表舞台に立つことは基本的にはありません。
(診断士の活動内容は非常に多様ですので、もちろん一概には言えないのですが)

誤解を招く言い方になってしまうかもしれませんが、「人の喜びこそが自分の喜び」感じられる方はより診断士に適しているといえるかもしれません。

 

4.おわりに

経営に関する資格取得を考えた時に診断士とMBAはよく比較されがちですが、
改めて2つの制度を比べてみるとやはり大きく違うなと感じました。

とはいえ、やはり大きな軸は「自分がどのような活動がしたいのか」という自らの目標や方向性に対してどちらがより近いか、ということになると思います。

皆さんのキャリアを検討していただく軸の1つになることができれば幸いです。

診断士に直接聞いてみたいことがある、という方はこちらのお問い合わせページからお願い致します。

迅技術経営では、士業資格(診断士、税理士、社労士)を通じて地域に貢献したいという思いのある方に対して、「士業育成システム」による支援を行っています。
資格を取得して一人前になった後は、自らの故郷などで皆様の力を還元する取り組みも行っています。

採用も随時行っておりますので、こちらの採用ページをご覧ください。

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