【2023年3月3日 投稿】
【2024年5月16日 更新】
大変ご無沙汰しております。石川県の中小企業診断士の森です。
更新ができておらず申し訳ありませんでした。
更新していなかった時期のことも含め、
少しずつまた皆さんに情報をお届けしていきたいと思います。
今日は最近特に注目を集めている「AI(人工知能)」についてです。
直近ではAIチャットボットである「ChatGPT」が
大きく注目されています。
一方で、AIに代替されにくい仕事として、
中小企業診断士が注目されているのはご存じでしょうか。
日経新聞「AI時代のサムライ業(上)代替の危機 新事業に挑む(2017年9月25日記事)」より引用
AIが将棋やゲームで人間に勝った、AIに記事執筆をさせたら数秒で10本もの
記事が完成したなどの情報を耳にする機会が増えたことで、
「AI=人間が敵わない存在」という風に感じている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、報道されるのはAIの得意とする分野の成果のみで、
AIにも不得意な領域があるそうです。
それが、ヒューマンスキル(交渉・コミュニケーション・ヒアリング・
コーチングなど)が必要とされる領域です。
目次
■AIに代替される可能性が高い仕事
AIに代替される可能性が高い仕事の中には、
行政書士・弁理士・税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士など、
複数の士業も含まれています。
一方で、士業の中でも代替可能性が低いとされているのが、
中小企業診断士と弁護士です。
◯AIの得意・不得意領域
そもそもAIが得意としているのは、ゴールの最適化と単一作業です。
画像・映像・音声の解析、明確なルールがある作業、
数値化されていることの推論など、
多くのデータを取り込んで最適な答えを導き出すのが得意です。
つまり、AIを活用するには数値化できるゴールを出す作業と、
学習のための豊富なデータを揃える必要があります。
その真反対にあるのが、人の行動や思いなどの定義が曖昧なものに対して
答えを出す仕事です。
例えば「人生にとって大切なこととは?」など、
人や状況によって定義が異なるような曖昧なものの答えを出すことは苦手です。
他にも少ない情報から答えを導き出すこと、文脈を理解すること、
経験から答えを出すこともAIの不得意分野です。
(もしかすると前述のChatGPTの登場により、
これも今後大きく変わってくるかもしれません)
つまり、「AIが得意=代替されやすい」のは書類手続き等、
定型的な業務が多い仕事。
「AIが不得意=代替されにくい」のがその人、
あるいは企業に合わせた「オーダーメイドの仕事」だと考えています。
中小企業診断士以外の士業で代替されにくいとされている弁護士も、
依頼人の気持ちを理解して課題解決をする点で、
高いヒューマンスキルが求められる仕事です。
■中小企業診断士が代替されにくい理由
ここで改めて、中小企業診断士がAIに代替されにくい理由を考えてみましょう。
1つは経営企画から戦略、財務、販売・マーケティング、人事労務までと
幅広い領域のコンサルティングを担う仕事であること、
もう1つは、感情や想いを汲み取って仕事をする必要があることです。
相手に共感し、どうしてほしいのかを汲み取った上で、
幅広い範囲に及ぶ課題を解決しなければなりません。
最適化が得意なAIに各種の条件を入力して答えを導き出させたとしても、
それがその会社にとって最適な戦略かどうかはわかりません。
自分が経営者だったら一般的に優れている戦略よりも、
こちらの意図を汲み取った戦略の方がありがたいと思うのではないでしょうか。
このように企業によって大切にしたいこと、
理想とする未来が異なるため、
その会社ごとに違うコンサルティングが必要です。
AIが得意な定型業務の正反対の仕事だからこそ、
中小企業診断士がAIに代替されにくいという結果が出ているのでしょう。
もちろん、今後の進化によってはAIの不得意領域が
少なくなってくるかもしれません。
しかし、対話から悩みや課題を導き出すのは人間が長けている領域で、
人間に対して求められる価値はまだまだ伸びしろがあります。
人間の得意領域はそのまま磨きつつ、AIの得意な分析力を借りれば、
より質の高いコンサルティングができるようになると考えています。
AIに代替されないからこの仕事には将来性があると考えるだけでなく、
AIによる技術を活用してより質の高い仕事を目指すことで、
中小企業診断士として大きく成長できます。
それが、クライアントの利益を生み、
中小企業を支えることにつながっていくはずです。