中小企業の改革は必要なのか?

こんにちは。中小企業診断士の森研介です。

中小企業診断士の勉強をしている方であれば
ご覧になった方もいらっしゃると思うのですが、
今年9月より、東洋経済オンラインにて
デービッド・アトキンソン氏による中小企業に
関連する記事がいくつか投稿されております。
(興味のある方はこちらからご覧ください)

我々中小企業診断士の中でもこの記事のことは
話題になっていて、弊社でも週礼にてこの話題が
上がったことがありました。
この相談室のコンセプトとは外れる部分もありますが、
我々の仕事そのものの理念にも関わってくる部分なので
今回はこのテーマを取り上げたいと思います。

1.記事の内容

アトキンソン氏が書かれた記事の1つ
「この法律が日本を『生産性が低すぎる国』にした」から
一部を引用いたします。

~~~引用開始~~~

実は日本経済の低迷も、女性活躍や有給取得率でもそうだったように、最後は必ず「小さな企業が多すぎる」という問題に突き当たるのです。低賃金、少子化、財政破綻、年金不足、最先端技術の普及の低さ、輸出小国、格差問題、貧困問題……さまざまな問題の諸悪の根源を容赦なくたどっていくと、「非効率な産業構造」という結論にいたるのです。

それはつまり、日本が他の先進国と比べて、経済効率の低い小さな企業で働く人の比率が圧倒的に多く、そのような小さな企業が国からも優遇されるということです。実は日本は、生産性の低い「中小企業天国」と呼べるような産業構造になっているのです。

~~~引用終了~~~

この記事では、日本の生産性が諸外国と比較して低い要因は
小さな企業が多すぎることにあり、小さな企業が多くなっている
要因は「中小企業基本法」にある、ということが書かれています。

そして別の記事では、生産性を向上させていくためには、
中小企業の数を現在の半分程度まで統廃合する必要がある
とも書かれています。

2.この記事に対する森個人の所感

この記事に書かれている内容に対して、
中小企業支援の現場に立っている中小企業診断士の一人としての感想は
肯定できる部分が半分、少し物申したいところが半分といったところでしょうか。
以下、それぞれ書いていきたいと思います。

2-1.肯定できる部分

中小企業の統廃合が必要である、これはおそらくそのとおりかと考えています。
2008年頃の、いわゆるリーマン・ショック以降、
金融円滑化法により多くの企業が倒産を回避できました。
しかし、これにより、本来事業を継続すべきではない企業(経営者)であっても
息を永らえることができる結果となりました。
これらの企業も、最近数年間は外部環境が好調だったこともあり
収益性は改善傾向にありましたが、依然として財務状況が
不安定な企業が多いことが現実です。

これに加えて、リーマン・ショックから10年が経過したことで、
現在は財務の問題に加えて事業承継の問題が浮上しています。
2008年当時60歳だった経営者も現在は70歳超です。
東京商工リサーチの調べによると、中小企業における後継者不在率は
55.6%と半分を超えています。

これらの事情から、今後5~10年で中小企業の統廃合は
否応なしにやってくると考えられます。
統廃合は、経営能力のある方が経営に携わる割合が
高くなること、そして間接部門を中心とする効率化にも
つながることから、生産性という意味では高まるのだろうと考えられます。

 

2-2.物申したい部分

これに対して、どうかなと思う部分は、
そもそもになってしまいますが「生産性向上を
第一優先課題に据えていいのか」という点です。

確かに、この国の現状と将来を考えるとGDPを
下げることは回避する必要があり、人口が減少する中では
一人あたりの付加価値額(生産性)を向上させる
必要がある、というロジックは通ります。

しかし、生産性向上それ自体は最終的な目的には
なり得ないのではないか、と考えています。

いかがでしょう。みなさんは「生産性を上げるため」に
働いていらっしゃいますか?
「生産性を上げるため」に中小企業診断士を
目指していらっしゃいますか?

個人の意見になりますが、事業を通じて思いを実現すること、
こちらを最終目的に据えて活動しています。
様々な思いを持つ方が、様々な方法で思いを実現すること、
これにより、地域単位での独自性が生まれ、人が集まり、
次の世代への循環が生まれる。
これが、地方としてのあるべき姿であり、
これに近づけていくことが中小企業診断士としての
価値ではないかと考えています。

 

3.最後に

ここまでに記してきたことから推測すると、
今後確かに中小企業の統廃合が進行していくと考えられます。
ただ、経営の根幹である「事業を通じて思いを実現する」
ということは変わらないと思いますので、
資本(所有)と経営の有り様が変わってくる
のではないか、というのが私の意見です。

中小企業診断士として、この変化をどのように捉え、
どのような支援をしていくか、これから時間をかけて
考えていかなければならないですね。

弊社では、「未経験だが中小企業の支援に携わりたい」という
思いを持つ方と一緒に働きたいと思っております。
ご興味のある方、聞いてみたいことがある方は、
ここをクリックしてください(問い合わせフォームにジャンプします)。

弊社の考え方や求める人材像などは、
こちらからご覧ください。

よろしくお願いいたします。

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